2009年12月29日

堂々めぐる

落ち着いた光の代官山を抜けて
ひらひらと女の子たちが宙に浮いている渋谷を急ぎ足で抜け
平然とした普段の顔の母親たちが忙しく用事をすませる富ヶ谷で我に返り
年末の代々木八幡に居場所はなかった。

森が呼んでいる。

明治神宮はハレの日の準備で慌ただしく
私は木々の隙間に紛れ込むように逃げ込む

..................

杣(そま)とは森に対する古い名称のことである。
杣にはあまたの径(みち)があるが森のなかで草木に覆われて見えなくなってしまっている。
草木に覆われた森の道はどの杣径も離れた別の経路を走り、それぞれが違う径である。
しかし、そのそれぞれの杣径は同じ森のなかを走る道なのである。
森のそのひとつの径に彷徨ったとき、偉大なる森全体の意識を全神経で感じるべく神経を尖らせる。
そしてそのことによって森の源泉を知る事になる。

...

森1.jpg


つかの間、自分だけの今日の森に彷徨い
どんな顔も持ちたがらない西新宿へ。

...

これらの径の心得があるのは、杣人たちであり森番たちである。
杣径を辿り径に迷うとはどういうことであるのか、
熟知しているのは彼らなのである。

ハイデッガー Holzwege より


...

彷徨った径ですれちがった景色
それらはすべてそれぞれの日常で、つつましやかな営み。

...

努めなければならないのは、自分を完成することだ。
試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じ合うことだ。

サンテクジュペリ「人間の土地」より



森5.jpg
posted by akirika at 00:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 日々
この記事へのコメント
アキさんの作品を見ると
いつも宗教祭儀を見ている時のような
静謐で刹那的なものを僕は感じます。

来年もとりあえずこの国が平和でありますように!!
ハッピーニューイヤー!!
Posted by カメちゃん at 2009年12月29日 18:45
カメちゃん

コメントありがとう。
先月は会いたかったのだけど、時間が足りませんでした。
次回はカメちゃんのニュースタジオに伺いたいです。

ハッピーニューイヤー!!世界平和でいきましょう!
Posted by akirika at 2009年12月31日 08:43
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/34438214
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
Powered by さくらのブログ (C) 2008 AKIRIKA All Rights Reserved